浴槽にひび割れや傷、落ちない汚れが目立つようになった時、選択肢は「交換」だけではありません。状態によっては「補修」という方法で、より手軽に問題を解決できる場合があります。交換と補修、それぞれのメリットとデメリットを理解し、ご自宅の浴槽の状態に合わせた最適な方法を選びましょう。補修の代表的な方法には「塗装」と「シート貼り」があります。塗装は、浴槽の表面に専用の塗料を吹き付けてコーティングする方法です。細かい傷や変色を隠し、新品のような美しい光沢を取り戻すことができます。最大のメリットは、交換に比べて費用が安く、工期も一日か二日と短い点です。しかし、耐久性は交換に劣り、数年で剥がれてくる可能性があることや、強い衝撃で塗膜が傷つきやすいというデメリットがあります。一方、シート貼りは、浴槽の内側に専用の防水シートを貼り付ける工法です。デザインや色のバリエーションが豊富で、浴室のイメージチェンジも可能です。ただし、これも経年でシートが剥がれたり、浮いてきたりするリスクがあります。では、どのような場合に「交換」を選ぶべきなのでしょうか。それは、浴槽本体に深刻なひび割れがあり、水漏れの危険がある場合です。また、浴槽の保温性能の低さや、掃除のしにくさといった機能面での不満を根本的に解決したい場合も、交換が最適です。最新の浴槽にすることで、節水や光熱費の節約といった付加価値も得られます。目先の費用や手軽さだけで判断せず、あと何年この家に住むのか、バスタイムに何を求めるのかといった長期的な視点で考えることが、後悔しない選択に繋がります。