それは、忘れもしない日曜の朝のことでした。家族がまだ寝静まっている中、私が一番に目を覚まし、トイレに向かいました。鎌倉市にあるアパート一室の汚部屋のドアを開けた瞬間、ひやりとした水の感触と共に、目の前に信じられない光景が広がっていました。トイレの床一面が、くるぶしまで浸かるほどの水で満たされていたのです。一瞬、何が起こったのか理解できず、思考が停止しました。我に返った私は、パニックになりながらも、とにかく水を止めなければと、びしょ濡れになるのも構わずにトイレの中へ。シンク下の止水栓を閉めた時のことを思い出し、タンク横のバルブを必死で回しました。幸いにも水の供給は止まりましたが、問題は床に広がった大量の水です。このままでは廊下まで溢れ出し、階下の部屋にも迷惑をかけてしまう。私は慌てて家族を起こし、家中のバスタオルをかき集めて、必死で水を吸い取り始めました。バケツで何度も水を汲み出し、タオルを絞るという作業を繰り返すこと約一時間。ようやく床が見えてきた時には、家族全員、疲労困憊でした。その後、駆けつけてくれた水道業者さんの診断によると、原因はトイレタンク内部のボールタップという部品の故障でした。部品が劣化し、給水が止まらなくなった水が、タンクのオーバーフロー管からも溢れ出し、床を水浸しにしたとのことでした。修理自体は一時間ほどで終わりましたが、後片付けの労力と、床材へのダメージ、そして何より精神的なショックは、計り知れないものでした。この苦い経験から、水回りの設備の定期的な点検がいかに重要かを痛感させられました。もう二度とあんな思いはしたくありません。